コメディだけではない『おいハンサム!!』の面白さ
コメディテイストでありながらも笑いだけでは終わらないのが『おいハンサム!!』。心にジーンとくるエピソードも毎回出てくるのだ。
今回は源太郎のオフィスで清掃員として働く重松(本多力)のエピソードが印象的だった。重松が受付の女性と目が合っても女性はまるで気にせず大きなあくびをしたり、エレベーターで乗り合わせた社員カップルが「誰も見ていないから」といちゃつきはじめたりと、そういったことが日常的な重松は自分をまるで風景のような存在だと認識していた。
しかし源太郎は違う。重松の目を見るし、ゴミの回収作業中に取り替えたばかりの新しい袋にゴミを入れる社員が多い中、源太郎は「重松さん、よろしいですか?」と声をかけて古い方の袋にゴミを捨ててくれる。
源太郎が飲み会に重松も誘うと、「伊藤さんは僕が見えるんですね。」と日頃の感謝を伝えた。誰も自分の存在を認識していないと悲観的になっていた重松にとって源太郎はとても大きな存在となっていた。何気ない気遣いができる源太郎は人としても素晴らしく、心が惹きつけられる。
また今回は、浜野謙太演じる大森に瓜二つの男性・小森(浜野謙太の1人2役)が登場。バスでとある街に降り立った小森は、初めて入ったはずのラーメン屋で「毎度!」と言われたり、商店街のお店の人から次々と親し気に話しかけられることに恐怖を覚える。
実は、その商店街は大森がよく立ち寄るエリアで、大森の行きつけの店が沢山ある場所だった。そこで大森に遭遇して別れたあとの由香と里香が現れ、里香はさっき会ったばかりの大森だと勘違いしてキツめに話しかけるが由香の方はさすが元恋人。顔を見るなり別人だと気づいていた。
余談だが、この小森・大森が精肉店に訪れるシーンが個人的にツボってしまった。大森は事前に牛タンをまるごと1本注文しており、全く事情を知らない小森は、自分を大森だと勘違いした精肉店の店員からこう言われる、「タンだけに、たんと召し上がれ」と。
そして、由香と里香が別の精肉店でコロッケを立ち食いする大森に出くわすと、大森はこの先の肉屋に牛の舌を取りに来たのだと姉妹に自慢げに話すのだ。「タンだけに、たんまりとな」。
しょうもないダジャレではあるが、ハマケンのさも得意げなドヤ顔に思わず吹き出してしまったのは筆者だけではないだろう。