古谷と志帆の関係も明らかに
遡ること1年前。志帆が講師を務める絵画教室で、晴見フィルの面々がモデルを務めたことがあった。そこで古谷は志帆に一目惚れをする。恋愛にあまり縁のない人生を送ってきたらしい古谷は、浮かれたように大輝(宮沢氷魚)に自身の胸中を話していた。
大輝から、志帆がバツ1らしいと聞いた古谷はすぐさま志帆に「結婚を前提に付き合ってほしい」と打ち明ける。奥手だったはずなのに、この行動力には感心だ。
しかし奥手だったからこそ、そして大輝の言うことを微塵も疑わなかったからこそ、不都合が生じる。現在も夏目と夫婦である志帆は、もちろん1年前の時点でも離婚をしていない。
日本にいることを知っているうえに、知らなかったとはいえ夏目の妻である志帆にプロポーズをしている古谷。夏目からの相談に明らかに様子がおかしくなっている。
にもかかわらず、音楽以外はからっきしダメな天才マエストロは、古谷の異変に気付かない。なんというか、このちぐはぐな感じに愛おしさも感じるし、いやいやこれでは志帆の苦労も計り知れないとも思わされる。
夏目が電話をかけても話すことは叶わなかったが、晴見フィルの練習のタイミングを見計らったように志帆は「あおぞら文化ホール」に姿を現す。その様子を見ていたのが、夏目に好意を抱いているフルート奏者の瑠李(新木優子)だった。