夏目「変わらないね」が地雷に
2人きりで話をする夏目と志帆。夏目は誉め言葉として「全然変わってない」と言うが、この言葉に志帆の表情が曇る。「相変わらず綺麗だね」とか、夏目がそういうことを言いたかったのだろうということは理解できる。
しかし、志帆が見てほしいのはそんなことじゃなかった。それまでの海外での生活をやめ、子どもたちを連れて日本へ帰るという一大決心。その裏側に変化がないはずがなかった。
響も、これまで何度も吐き捨てるように「変わらないね」と言った。この母娘は、夏目に変わってほしいし、変わったところに目を向けてほしいと思っているのだろう。だが、そんなことには気付かない夏目は、家が狭いならば帰ってくればいい、と気楽に言う。それに対し「帰らない、あなたがいる間は」と、志帆は無情にも突き放すのだった。
二朗(西田敏行)に連れられ、夏目は古谷の父・太郎(不破万作)が営む理髪店へ。そこで太郎から、古谷には“好い人”がいて、すでにプロポーズもしていることを聞かされる。古谷はずっとおどおどし通しだ。大輝の勘違いと古谷の確認不足が生んだこの状況にむずむずしてくる。
自身の恋愛事情を問われた夏目は、志帆との現状を二朗らに話す。「奥さんの目をまっすぐ見つめて『帰ってきてちょうだい』って歌うのよ」という二朗のアドバイスは、なんだかいやに説得力がある。西田敏行という役者の人間性が重なるからだろう。実際夏目も勇気をもらったらしく、志帆と向き合うことを決意する。