視聴者の予想を凌駕する堺雅人の圧巻の演技
第1位 乃木が”別班”だと正体を明かす(第4話)
第4話では、システムを改ざんして誤送金を仕組んだ人物が、財務担当の太田だと突き止めたことにより、誤送金事件は解決し、真相が明らかになったかと思いきや、衝撃の展開が待ち受けていた。
テントのモニターが、なんと乃木の同期である、エネルギー事業部課長の山本だったことが判明したのだ。山本は、公安から追われる中で一度は仲間だと名乗って接近してきた黒須によって拘束される。
山本が目を覚ますと、「よぉ山本…」と語りながら、その場に現れたのは、あの乃木憂介その人である。乃木の口から、乃木と黒須が別班のメンバーであることが明かされた。
それまで自分は出世街道をひた走り、乃木のことは出世コースを外れた負け犬だと思っていた山本は、その事実に動揺を隠せない。これに対し乃木は、「別班は海外を渡り歩いてナンボなんだよ」と普段の乃木とは別人のような口ぶり(乃木の別人格であるFが表に現れた状態)で吐き捨てる。
そして「この美しき我が国を汚すものは、何人たりとも許さない。命に従い、お前を排除する」と、山本を自殺に見せかけて、絞殺刑に処す。
物語前半「誤送金編」のクライマックスにあたる一連のこのシーン。
乃木の中にもう一人の人格”F”がいることは、それ以前からたびたび描写されていた。また、「別班」の存在が明らかになったときから、乃木が別班の一員であると予想していた方もいただろう。乃木が正体を表すことは、一部の視聴者にとって待ち望んでいたシーンだったに違いない。
この期待に応えるどころか、視聴者の予想を凌駕する圧巻の演技を見せつけた堺雅人にはまったく恐れ入るばかりだ。そして、出演することは発表されていたにも関わらず、この第4話まで出番もなく素性も明らかにされなかったことで「誤送金編」の物語をけん引した黒須役・松坂桃李の功績も讃えたい。
射殺ではなく絞殺にしたことで、本作の中では最も残虐といえるこのシーン。憂助の恐ろしい本性を目に見える形で表現した、心に刻まれるシーンだった。
【関連記事】
日曜劇場『VIVANT』で最もブレイクした俳優は? 脇役から見る”型破りな面白さ”を考察。勝手にキャスト表彰式
未回収の伏線がある!? 続編や映画化は無理? 日曜劇場『VIVANT』最終回を徹底考察&あらすじを深掘り解説
海外でも大絶賛…その理由は? 稀有な魅力を改めて深掘り。ドラマ『VIVANT』徹底考察。続編の展開&福澤克雄演出も解説