「今だったらオーディションに受かってないかもね」
1年後のアフレコ収録で言われた一言
―――お2人が共演されたシーンで印象的なエピソードはありますか?
吉田「精神的に不安定になった千夏が、ター坊にヒドイ言葉を投げつけてしまい、過ちに気づいてすぐに謝る場面は、ワンシーンワンカットでの撮影でした。まさに自然体で演技ができましたし、良い意味で緋美くんの空気に飲まれたのがよかったのだと思います。千夏がター坊に癒されていく空気感を、緋美くんと一緒に作ることができましたね」
佐藤「美月喜ちゃんは、一緒にいて楽しい人なので、僕の方こそ救われました。お互い人見知りだからこそ、役柄を通して信頼関係が結べたのだと思います。あと、奥平大兼くんも含め、同年代の共演者が多かったので、作品を通して仲間意識を築けたのは得がたい経験でしたね」
―――千夏の心の声が作品の重要なポイントになっていますね。モノローグ作業で印象に残っていることはありますか?
吉田「現場でも一応、アフレコを録っていたのですが、本編で使われたモノローグのほとんどは、撮影が終わって、東京に戻ってから録った声が使われています。先ほどお話した通り、撮影時は千夏と年齢が一緒だったのですが、東京に戻ってモノローグを録る頃には、私が1年だけ年を重ね、千夏の年齢を追い越していました。モノローグは、未編集の撮影素材を見せてもらいながら録ったのですが、今思うと、無意識のうちに俯瞰で千夏を見ていた気がします。千夏を応援したいと思う気持ちが、モノローグの声に乗っかったといいますか」
―――なるほど。スクリーンに映る千夏よりもちょっと大人びた声になっていましたね。映像と心の声のギャップが、彼女の見え方をより立体的にしていると思いました。
吉田「ありがとうございます。ちなみに、まつむら監督からは、『今だったら、オーディション受かってなかったかもね(笑)』と、冗談っぽく言われました。当時18歳でよかったなあと(笑)。」
―――本作には一人の女性が少女から大人になる間の、刹那とも言えるかけがえのない瞬間が記録されています。
吉田「はい。本当に、18歳の自分を映像に残せたという点でも、この映画で出会えたことにとても感謝をしています!」
【作品概要】
監督:まつむらしんご
原作:横山拓也
キャスト:吉田美月喜 常盤貴子 前田敦子 奥平大兼 三浦誠己 佐藤緋美 石原理衣
2023年1月27日(金)公開 / 上映時間:93分 / 製作:2023年(日本) / 配給:イオンエンターテイメント=S・D・P
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