「沢城さんは満場一致でした」
―――キャストについてもお聞きしたいのですが、吉村監督から見て、オスカル役の沢城みゆきさん、アントワネット役の平野綾さんのご印象はいかがですか?
「キャストはオーディションで選ばせていただいて、私とプロデューサー陣、音響監督と原作の池田理代子プロダクションの方も入っていただいたのですが、沢城さんは満場一致でした。それぞれが原作を読んで自分にとってのオスカル像がある中で、あの声を聞いてぴったりだと思った人もいれば、もともとは全然違う印象だったけどあの声を聞いて納得された人もいると思いますので、すごいことですよね」
―――平野さんは、声優だけでなくミュージカル女優としてもご活躍されています。
「平野さんは、歌はもちろんですが、ご自身も『ベルばら』が大好きで、台本読みの段階で十代から三十代までのセリフを感情と声を分けて演じられていたのが凄かったです。アントワネットに関しては、池田理代子プロダクションさんが“王族としての気品“を特に大切にされていて、平野さんは子ども時代の天真爛漫さから大人の気高さまで見事に表現されていたので、同じく満場一致でした」
―――平野さんの可愛らしい声の奥底に、気の強さがほんの少し見えるような気がして、そこにアントワネットらしさを感じました。
「その辺りが気品なんだと思います。絵の話になりますが、最初にアントワネットのキャラクターデザインを描いたときに、子どもの頃の可愛らしいイメージで、優しい顔で描いていたんです。その後、池田プロダクションさんから『もっとツンとして欲しい』とリクエストがあり、原作を見るとやっぱりちょっとツンとしているんですよね。ここにプライドや気高さが表現されているのだと、勉強させていただきました」