家族ゲーム【ネタバレあり】あらすじ
茂之が勉強に集中できないのには理由があった。彼はクラスの男子から壮絶ないじめを受けていたのだ。茂之は吉本から「教科書からわからない漢字を抜き出してノートに書き写す」ように指示される。時間が経ち、吉本がチェックするとノートは「夕暮れ」という文字でびっしり埋まっている。吉本は無言で茂之の顔面を殴り、鼻血を出させる。吉本は「真面目に取り組まないとまた殴る」と告げ、茂之に発破をかける。
あくる日、茂之は吉本の授業をボイコットするが、本屋で暇を持て余しているところを見つかり、机の前に引きずり出されるのだった。千賀子は茂之の様子がおかしいことに気づき、孝助に「吉本を辞めさせてはどうか」と相談しても、聞く耳を持たない。
同級生から茂之へのいじめは日に日に激しさを増していく。ある夜、茂之はいじめ被害を吉本に告白。吉本は勉強を中断し、茂之に喧嘩のやり方を教えるのだった。吉本の指導が功を奏したのか、茂之の成績は徐々に上がり始める。また、吉本の教えを忠実に守ることで、いじめっ子・土屋とのタイマンに勝利する。
茂之の学力はさらに上昇し、「西武高校」も視野に入ってきた。しかし、茂之はなぜかワンランク下の「神宮高校」への受験を希望。孝助は茂之を翻意させるため、吉本に特別手当を渡し、説得を依頼する。孝助から依頼を受けた吉本は、茂之の通う学校に乗り込む。吉本は「西武高校」を受験するように茂之を説き伏せ、担任教師に掛け合って受験校の変更を認めさせる。
事態が丸く収まったあと、吉本は茂之に、「なぜ志望校を『西武高校』から『神宮高校』へ変えようとしたのか」と問う。茂之の答えは、「土屋と同じ高校に通いたくない」というもの。茂之は小学生時代にウンコを漏らした経験があり、その事実を知っているのは土屋だけだった。
茂之は無事、「西武高校」に合格を果たした。土屋は受験に失敗し、茂之は胸を撫でおろす。沼田家では茂之の合格を祝した食事会が開かれる。すべてにおいて他力本願な沼田家の面々に怒りを募らせていた吉本は、食卓の席をめちゃくちゃに荒らし、鉄拳をふるって家族を次々と気絶させていく。最後に残された茂之は、吉本のパンチをガードで防ぎ、平手打ちを返すが、すぐさま腹を殴られ気絶してしまう。吉本はご馳走が載った食卓をひっくり返し、沼田家をあとにする。
静かな昼下がり。沼田家では慎一、茂之がうたた寝をしている。すると、静寂を切り裂くようにヘリコプターの飛行音が近づいてくる。千賀子は外の様子を気にしつつ、趣味のレザークラフトに取り組んでいたものの、徐々に睡魔に襲われ、机に突っ伏して眠りに落ちるのだった。