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長澤まさみ登場もまさかの雑魚キャラ…。
緊張と緩和を活かした見事な演出とは?

ヒロイン緑川ルリ子を演じた浜辺美波2017年報知映画賞より写真Getty Images

最後にネタバレ全開で私見を述べる。良かったポイント、違和感を抱いたポイントをざっくばらんに挙げておきたい。

まずは良かった点。最初は距離のあったヒロイン・緑川ルリ子(浜辺美波)と本郷猛は、幾多もの困難を共に乗り越えていくことで、次第に心を通わせ合ってゆく。この抒情的なエモーションの流れが美しい。

ルリ子は自身も、父・緑川弘に改造人間にされており、本郷と出会った当初はつっけんどんな態度をとっていたが、彼に助けられ、バイクの後部座席に乗る度にその背中の暖かさが身に沁みてくる。

ベタではあるが、徐々に本郷に心を許し、甘えをみせるルリ子、それを受け入れる本郷の姿は入念に演出されており、気恥ずかしさは微塵も感じない。

また、長澤まさみ演じる「サソリオーグ」は、登場して早々、仮面ライダーではなく、政府の特殊部隊によって抹殺されるのだが、SMの女王様のような奇抜なキャラクター像が圧巻だ。

長澤まさみが演じていることも相まって、一瞬強敵かと思わせておいて、まさかの雑魚キャラ…。良い映画には緊張と緩和が付きものだが、このシーンは殺伐とした物語における絶妙な緩和となっている。

これほどまでに効果的な「女優の無駄使い」は中々お目にかかれないだろう(ちなみに、本作のスピンオフ漫画『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダーSHOCKERSIDE-』では危ない性癖を持つ「サソリ」と名乗る女性が登場する。彼女がサソリオーグの人間態なのか、はたまた本人なのかについての関係性は不明だ)。

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