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本郷猛死亡の衝撃…。
仮面ライダー1号と2号の微妙な関係にモヤモヤ

サプライズ出演の斎藤工Getty Images

一方、違和感を抱いた点も少なからずある。SHOCKERを追撃する政府機関の諜報員として、斎藤工と竹野内豊が、重要な役回りとしてサプライズ出演を果たしている。このアイデアは気に入った。

しかし、終盤で役名が明かされるとモヤモヤした気持ちが生じる。斎藤の役名は「滝」。原作においては本郷のオートレーサー仲間であり、その正体はFBI捜査官である。

そして、竹野内の役名は「立花」。原作では、本郷から「親父さん」と呼ばれるバイクの師匠であり、スナックのマスターである。

原作を知らない人たちからすれば、ただの名前なわけだが、オリジナルファンからすると、唐突な「キャラ変」である。

作り手としてはファンサービスのつもりだったのだろうが、リブート版のオリジナルキャラクターであればスッキリ見られたものの、最後の最後で消化しがたいモヤモヤした気持ちを抱かせる結果を招いていると筆者には思われた。

さらに、中盤から登場し、仮面ライダーと共闘する仮面ライダー第2号である一文字隼人(柄本祐)との関係にもスッキリしないところがある。『シン・仮面ライダー』において、本郷猛は最終的に死亡する。

その後、一文字はいわば本郷の“遺品”であるマスクを滝&立花から託される。そして、本郷の記憶が残っているマスクを装着し、新たな仮面ライダーとして生きてゆく…。という結末なのだが、ここが最も賛否が分かれるポイントだろう。

原作では本郷猛は死亡するわけではなく、1号と2号はまったくの別モノ。本作ではマスクのデザインを明確に描き分け、「ダブルライダー」の活躍を見事に演出しているわけだが、最終的にマスクを受け継いだとなっては、果たしてそれが仮面ライダー1号なのか2号なのか、少なくともフォルムの上では見分けがつかない。

1号から2号への継承、という流れであればスッキリしたかもしれないが、1号のフォルムがそっくりそのまま2号に受け継がれるという展開にはモヤモヤを禁じ得ない。

もしかすると、本郷猛演じる池松壮亮の、マスクからはみ出る“襟足”は、仮面ライダー2号と差別化するためにあしらわれた“目印”だったのだろうか。

ここまで、オリジナルファンの立場から、好き勝手なことを述べてきたが、庵野監督が独自の感性でオリジナル版を解釈した『シン・仮面ライダー』は、旧ドラマを観たことがない・原作漫画未読の方であっても楽しめる優れたエンターテインメント作であることは、間違いない。

ぜひスクリーンに足を運んで、各自の目で思い思いに楽しんでほしい。

(文・ZAKKY)

【記事修正】
※2023.3.24情報の誤り・誤解を招く記述を修正しました。

第一に「変わるモノ」。オリジナルからの改変点において最初に目を引くのは、仮面ライダーのフォルムの変化である。マスクから後ろ髪が見えている、コートを羽織っている、という設定はオリジナル版にはなかったものだ。

第一に「変わるモノ」。オリジナルからの改変点において最初に目を引くのは、仮面ライダーのフォルムの変化である。マスクからはみ出る後ろ髪を強調する演出、コートを羽織っている、という設定はドラマシリーズではなかったものだ。

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