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ラストの元ネタは? 映画『シン・仮面ライダー』考察レビュー。ダークヒーロー路線はがっかり? 特撮熟知のライターが徹底解説

国民的特撮ドラマ「仮面ライダー」の生誕50周年記念映画『シン・仮面ライダー』がAmazonプライムで独占配信中だ。監督は『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる鬼才・庵野秀明。公開時は「がっかり」という声も聞かれた本作だが、今回は原作との比較を踏まえ、本作に込められた演出の狙いを徹底考察する。(文・サデスパー堀野)

作品全体から滲み出る庵野色
物語後半の元ネタとなったエピソードとは?

監督を務めた庵野秀明Getty Images

アニメーターから出発し、『トップをねらえ!』(1988年)や『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)やなどの人気アニメで監督を務め、さらに実写映画も手がける稀代のクリエイター・庵野秀明。そんな庵野が手がける『シン・〜』と冠する日本のヒーロー作品群が近年話題だが、本作はそのプロジェクトの最新作。かつてTVで大人気を博した特撮ヒーロー作品『仮面ライダー』(1971年)のリブート版である。

実は庵野は、『シン・ゴジラ』では脚本・総監督、『シン・エヴァ』では企画・原作・脚本・総監督とやや引いた立場であり、昨年話題となった『シン・ウルトラマン』も企画・脚本担当と、監督を務めているわけではない。しかし今回の『シン・仮面ライダー』では、脚本・監督を務めており、ハッキリと庵野色が濃い作品だと言える。

初見の感想としては、とにかく初代仮面ライダー、しかもTVシリーズ、原作漫画版の『仮面ライダー』(石ノ森章太郎・作)の両方の要素が、映像的にも物語的にも見事に取り入れられており、原作へのリスペクトを強く感じた。

細かいところをイチイチ掘り起こすとキリがないのでやめておくが、あえて言うなら少なくとも原作漫画の「PART4 13人の仮面ライダー」編だけは絶対に押さえてほしい。物語後半の、仮面ライダー2号との出会いや大量量産型相変異バッタオーグとの戦い、そしてラストのモノローグなどが、この原作版からの引用だからだ。

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