宮崎駿の冒険活劇〜演出の魅力
本作は、1986年公開の宮崎駿監督作品であり、記念すべきスタジオジブリの第1作目。ジョナサン・スウィフトの冒険小説『ガリヴァー旅行記』に登場する「空飛ぶ島ラピュータ」に着想を経て、宮崎が想像力を膨らませている。
スタジオジブリのランキングでは、必ず上位にランクインすることの多い本作。いまだにTV放映のたびに滅びの呪文「バルス」がTwitterのトレンド入りを果たしている点からも、本作の根強い人気が伺える。
そんな本作の魅力を一言で言い表すことは難しい。壮大なスケールの世界観や手に汗握るアクションシーン、悪役ですら魅力的なキャラクター描写など、観客の目をスクリーンに釘付けにする仕掛けが散りばめられており、まさに観客の子供心をくすぐる作品に仕上がっている。そしてこういった本作の意図は、宮崎の企画意図にもはっきりと表れている。
幼児の観客層を掘りおこし、対象年齢を広くする。アニメ・ファン数十万人は必ず観てくれるので、彼らの嗜好を気にする必要はない。そして、多くの潜在観客は、心を幼くして解放してくれる映画を望んでいる。真に子供のためのものは、大人の鑑賞に充分たえるものなのである。パズーは本来の源にアニメーションをとりもどす企画である。(「出発点―1979~1996」)
大人から子供まで楽しめる面白さ。それこそ、本作の目指したところであり、スタジオジブリの作品の指針でもあるのだ。