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飛行と落下がもたらすスリル〜映像の魅力

ドーラ達とシータを助けに行くパズー© 1986 Studio Ghibli
ドーラ達とシータを助けに行くパズー© 1986 Studio Ghibli

映像の注目ポイントは、なんといっても手に汗握るアクションシーンだろう。線路上で繰り広げられる追跡劇やロボット兵の戦闘シーンなどは手に汗握ること請け合いだ。

特に本作のアクションでは、水平方向への運動(飛行)と垂直方向への運動(落下)が巧みに用いられている。例えば、パズーとドーラがシータを救出するシーンでは、操縦桿を握るローラが失神し湖面へと落下する。しかし、着水寸前でドーラが目を覚まし、今度は水平運動に移行する。

また、ラピュタに到着して以降は、落下が登場人物の命運を握る。「ラピュタの力」で兵士たちを海に叩き落とすムスカと、振り落とされまいと木の枝に懸命にしがみつくパズー。生き残りをかけた振るい落としゲームが幕を開ける。

なお、フラップターの飛行シーンを担当したのは、「金田パース」という独特の技法で知られる伝説のアニメーター、金田伊功。

宮崎の前作『風の谷のナウシカ』(1984年)で腕を買われた金田は本作で「原画頭(げんががしら)」という特殊な役職にクレジットされており、飛行シーンのほかにも、パズーの親方とドーラ一家の喧嘩のシーン、竜の巣のシーンなど、躍動感あふれるシーンを多数担当している。

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