哀愁と郷愁をたたえた「君をのせて」〜音楽の魅力
本作の音楽といえば、まずは井上あずみが歌う主題歌「君をのせて」を挙げないわけにはいかないだろう。哀愁と郷愁を感じさせる本曲のメロディは、夢とロマンをテーマとした本作に相応しく、はるか遠くの世界を思い起こさせる曲に仕上がっている。小中学校の合唱曲の定番にもなっているので、学生時代に歌った読者も多いことだろう。
本曲の歌詞は、宮崎自身が担当しており、宮崎自身が敬愛するサン・テグジュペリの童話の世界観が反映されている。
特に本曲の冒頭にある「あの地平線 輝くのは どこかに君をかくしているから」という歌詞は、テグジュペリの著書『星の王子さま』に登場する「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだね」という一説を思わせる。
ちなみに、本曲の歌詞は、ジブリ作品ではお馴染みの久石譲が担当。久石は、本作の作品イメージからスコットランドやアイルランドの民謡をベースにした曲を提供。フルオーケストラに加え、サンプリングマシンでミニマルなフレーズを組み込むことで、物語に寄り添った楽曲に仕上げている。
なお、本作の音楽監督には当初、久石以外にもシンガーソングライターの宇崎竜童が挙がっていたという。宇崎竜童が本作の音楽を担当していたら…と妄想するのも面白いかもしれない。
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