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社会現象となった主題歌〜音楽の魅力

© 2008 Studio Ghibli・NDHDMT
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宮崎は、楽曲の制作にあたり、『となりのトトロ』(1986年)同様、「子供から大人まで誰もが口ずさめるような歌」を条件として提示。これを受けて、音楽監督の久石譲は、「ポニョ」という独特なリズムを軸としてメロディラインを構築したという。

なお、本曲は、2008年7月21日付オリコンデイリーシングルランキングで第1位を獲得。その後、大橋と藤岡が揃ってNHK紅白歌合戦出場を果たすなど、社会現象となったことも記憶に新しい。

また、オープニングテーマである「海のおかあさん」についても言及しておきたい。覚和歌子が作曲し、ソプラノ歌手の林正子が歌う本曲は、文部省唱歌の「海」に並ぶ定番曲として作られたもの。当初はイメージアルバムに収録される予定だったが、プロデューサー・鈴木敏夫の鶴の一声でオープニングに採用されたという。

なお、久石は、本作の音楽制作にあたり、次のように述べている。

「死後の世界、輪廻、魂の不滅など哲学的なテーマを投げかけている。でも、子供の目からは、冒険物語の一部として、自然に受け入れられる。この二重構造をどう音楽で表現するか。そこからが大変でした」(『読売新聞』2008年7月30日付より)

『崖の上のポニョ』の音楽には、本作が持つ複層的な構造がそのまま反映されているのかもしれない。

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