永山絢斗(場地圭介)はシリーズの影の主役だったが…。
東卍壱番隊隊長。東卍創設者の1人でもある。まず、個人的に声を大にして言いたいのは、キャラクターの再現度は、永山演ずる場地が一番だと感じている。顔の造詣もそうだが、その佇まい、風格、何を取っても完璧である。
場地は、『運命』の中盤から登場する。出てくるや否や、東卍を抜け、バルハラ入りする。その背景には、悲しい過去があり、バルハラに入ってしまったかつての仲間、一虎を救出する目的があった。場地の過去には一体何があったのか…。永山は余白を残した芝居で、観客にスリルを提供することに成功している。
しかし、冷静に考えてみると、永山絢斗は1989年生まれの34歳。対して、演じる場地は中学生。いくらなんでもキャスティングに無理があると思ってしまうところだが、驚くべきことに、永山の芝居には違和感が一切ない。
とはいえ、それは他のキャストも一様に年齢が高いからであって、永山の演技力に帰すべき問題ではないのだろう。本作に10代の俳優が出演していたら、逆に浮いてしまうに違いない。映画において「リアル」であることと「リアリティ」を演出することは明確に異なるのだ。
最新作の『決戦」のストーリーは、場地を中心に描かれており、彼が何を意図してバルハラに入ったのかが克明に描かれる。いわば場地の心理を考えながら観るのが面白いのだが、永山は、セリフではなく、表情だけで複雑な感情を観る者に伝える。
最大の見どころは、最終戦にて、突如、東卍に寝返り、「この時を待っていたんだ!」と稀咲の首を取りにいき、追い込んだ稀咲に「チェックメイトだ」と言い放つシーンだろう。下手すると臭くて観ていられないシーンだが、永山は貫禄たっぷりに演じ上げ、観る者の胸をアツくする、名シーンへと昇華してみせた。
八面六臂の活躍を見せる永山=場地。その後、あえなく死亡することになるのだが、その死に方もお見事。息絶える前に仲間たちに残す言葉…。無念の死を遂げる場地を演じるにあたり、永山は役者魂の全てを注ぎこんだに違いない。
公開直前に大麻取締法違反の罪で逮捕され、作品のミソをつけてしまったとはいえ、彼の存在なくしては映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、特に公開中の『決戦』はここまで見応えのある映画にならなかったのではないだろうか。
(文・ZAKKY)
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