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「冷酷なくらい客観的に見ました」
作品に対する想いとはー。

写真:宮城夏子
写真宮城夏子

――それだけ深く作品を見つめて関わって作り上げる。全てにおいて責任を持って取り組む姿勢に感銘を受けます。荒木監督は、さまざまなアイデアを投げかけてくれる若葉さんとの撮影はいかがでしたか?

荒木「若葉さんはシーンごとに演技のアイデアを持ってきてくれるんです。それはまた的確なものが多くて。もちろん元の案で行こうと言えば、その通りにやってくれます。監督としてはもうひとつプランがあるのはありがたいし、若葉さんのアイデアは客観性があり、作品のためにはこうした方がいいのではないかという意見なので一緒に仕事をしていて楽しかったですね」

――客観性のある意見ということですが、やはり撮影の間も作品を俯瞰で見ていたのですか?

若葉「この作品に関しては、冷酷なくらい客観的に見ました。テンションが上がってノリで演じたときの滑り方が尋常じゃないと思ったからです。でもいつもそうしているわけではなく、主演の俳優さんが監督と話して降りてきたプランを一番いい状態に持っていけるように演じることもありますし、作品ごとに変化していますね」

――完成した映画はいかがでしたか?

若葉「僕が一番恐怖だったのは、脚本の鋭利さ、ぶっ飛び方を作品が超えられなかったらどうしよう……ということでした。最初に脚本を読んだときの『とんでもない映画を作ろうとしているな』という感情を覚えているので、それを超えられなかったら負けだと思いました。でも映画はそれを超えてきたので、僕のフィルモグラフィはすごいことになるなと。分岐点になる作品です」

荒木「試写室から出てきたとき、若葉さんが『カルトだ!』と叫んでいました(笑)。俳優さんは、自分の出演シーンを見ることに集中することが多く、作品全体を見てない人も多いと思うんですよ。あそこの演技、ああだったな……とか。でも若葉さんは俯瞰で見ている。いや、俯瞰でしか見ていない……でもカルトでしたか?」

若葉「『鉄男』(1989)とか『ピンク・フラミンゴ』(1972)を観たときと同じような感じだったので、思わず言葉に出てしまいました(笑)」

(取材・文:斎藤香、タナカシカ)

【作品詳報】

『ペナルティループ』
2024年3月22日(金)より、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー
監督・脚本:荒木伸二
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン
(c)2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS
公式サイト

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