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『ゴジラ-1.0』典子とビオランテとの共通点は

映画『ゴジラ-1.0』第36回東京国際映画祭時。左から 山崎貴監督、神木隆之介、浜辺美波
映画ゴジラ 10第36回東京国際映画祭時左から 山崎貴監督神木隆之介浜辺美波Getty Images

怪獣ゴジラが70年に及ぶ映画史の中で、対峙してきた悪役の中には、人間のDNAから生まれたものが存在する。映画『ゴジラ対ビオランテ』(1989)では、白神源壱郎博士が、最愛の娘である英理加を失い悲しみに打ちひしがれ、彼女を生き返らせるために高い自己再生能力を持つゴジラの“G細胞”が鍵となると考える。

そこで源壱郎は、G細胞の一部と、亡き娘の細胞が埋め込まれたバラを融合させたが、娘の英理加は元に戻らず、急激な異常進化を遂げた怪獣ビオランテを生み出してしまうのだ。

このビオランテは、植物であるバラ、怪獣ゴジラ、そして人間の英理加という、3つの生命体全ての特徴を受け継いでいる。つまり、バラのような体の構造を持ち、ゴジラの再生能力と巨大なサイズを引き継ぎ、英理加の意識が残されていた。つまり怪獣ビオランテは怪獣の姿をした人間の悲劇的な再生の象徴なのだ。

『ゴジラ-1.0』での典子に残された首のアザは『ゴジラVSビオランテ』で英理加がゴジラのG細胞によって恐ろしい変身を遂げた出来事を思い出させる。

“G細胞”の再生力は、怪獣ビオランテと典子の結びつきを強めている。映画『ゴジラ-1.0』で登場した怪獣ゴジラは、平成版、ミレニアム版、シン・ゴジラ版の怪獣と同様に驚異的な再生能力を持っていることが示されている。

生還不可能と思われた悲惨な状況から奇跡的に生還を果たし、包帯姿とはいえ驚くほど健康な状態へと戻っている典子を見れば、怪獣ゴジラの“G細胞”が、典子を再生し癒したという考えを物語っている可能性が高い。バラの要素はここにはないが、この起源は怪獣ビオランテのものとそっくりであるのがわかる。

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