悲鳴と笑いを同時に引き起こす!?
笑撃のホラースプラッター『往訪』
―最後の一本がコミカルな要素が入ったスプラッターホラー『往訪』ですね。物語はどのようにして着想されたのですか?
「僕、過去を遡ると、幼稚園に一日しか行っていないんですよ。その時、家で何をしていたかというと、母親と一緒にホラーやスプラッター映画を観ていたんです。母親が好きだったので。だから、自分の原体験として、そういった映画をいつか撮ってみたいというのは、あったんだと思います。同時にコメディーも好きだったので、両者をかけ合わせたホラーコメディーですね、この作品は」
―怖くもあり、「なんじゃこりゃ!」と、笑える要素もありました(笑)。
「前作(『異物 -完全版-』)を撮っていた際に、パンデミックが発生し、コロナ禍に突入しました。その時に改めて思ったのは、また、このキーワードが出てきますが、地震なども含め、『“不条理”なことは理由もなく起こる』ということです。僕たちは、現実を生きていく中で、意識するしないにかかわらず、常に不条理に翻弄されている。そしてその不条理って映画では説明なんていらないと思うんです。そんな気持ちを抱いている中、ジュリア・デュクルノー監督の『TITANE/チタン』(2021)を観て、どっぷりハマってしまった。同じベクトルの作風を目指していたと言うか。昔から大好きなホラーコメディと、『異物 -完全版-』からの不条理というテーマ、そしてそれを説明しないということをやりきった作品ですね」
―こだわった描写はありますか?
「僕はアナログな表現が好きなので、血しぶきなどもCGではなく、大変ではありますけど、血ノリの吹き出しを採用しました。音響表現にも凝りました。音響効果には『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』や『バック・トゥー・ザ・フューチャー』などでアカデミー賞を受賞している小川高松さん、スーパーバイザーにはジブリ映画などを担当されている大川正義さんにお願いしています」
―登場人物たちの立ち振る舞いも、また不条理で面白いです。
「海外の映画祭でも、観客から悲鳴と笑いが同時に起こっていました(笑)」
―なんか、最後には清々しさも感じられました。
「『あっという間に終わるパンク・ロックの短い曲』を作るようにこの映画を作っている感覚はありましたね」
【映画『往訪』作品情報】
■STORY
バンドメンバーのハルカ、ナナ、タカノリは連絡のつかなくなったソウタのもとを訪ねる。だが、そこにいたソウタの様子は少しおかしかった…。
■STAFF
監督・脚本:宇賀那健一
撮影・編集:小美野昌史
特殊メイク・特殊造型:千葉美生、遠藤斗貴彦
■CAST
詩歩、平井早紀、板橋春樹、遠藤隆太
2021年/17分/16:9/5.1サラウンド/DCP/カラー
『未知との交流』は、12月3日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国劇場公開!!
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