第1のターニングポイント
アクションシーンを重視する作風に
興行収入が伸び悩む中で、劇場版『名探偵コナン』の趣向がいよいよ変わっていくことになる。何がどう変わったかというと、アクション性やキャラクター性を重視した内容になっていったのだ。
これは、15作目『沈黙の15分(クォーター)』(2011)から監督になった静野孔文が影響していた。静野監督は『沈黙の15分』から21作目『から紅の恋歌(ラブレター)』(2017)までの計7作品で監督を務めている。
この変化が功を奏したか、17作目『絶海の探偵(プライベートアイ)』(2013)でコナン映画史上最高記録を更新する36.3億円を記録する。そしてこれ以降のコナン映画で毎年のように最高記録を更新し続けていくことになる。
翌年の18作目『異次元の狙撃手(スナイパー)』(2014)で興行収入40億円超えとなる41.2億円をついに達成し、さらに、20作目『純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016)では興行収入63.3億円と一気に60億円を超えた。
実際の映画の内容について見ていくと、『沈黙の15分』では冒頭から電車が爆弾で大破するシーンがあったり、終盤でダムからの水流を雪崩を起こして止めるなど過激なアクション要素が増えているのが、目に見えてわかる。
まだ、『純黒の悪夢』では巨大な観覧車の上でヘリコプターからの銃撃を受けるという推理物とは思えない展開もある。
ミステリーの謎解きよりも視覚的にインパクトが強く見どころが分かりやすい。そういった意味で初期からのコナンファンだけでなく、幼い子供などの層にもターゲットを広げていったのかもしれない。
従来からのコナンファンには批判される可能性もありそうだが、さらなる発展のために変えていったのだろう。