今だから新鮮に映る「アナログ」さ
ビートたけし氏、いや昭和世代の誰しもがかつて経験したであろう、アナログな恋愛模様。それをたけし氏は現代に置き換えて、「女性が携帯電話を持っていない」という設定とし、週に一度、会えるか会えないかの日を楽しみにドキドキしている男心を描こうとしではないだろうか。
また、現代では悟のようにアラフォー世代でも恋人もいなければ、結婚もしていない男性は多数いる。このあたりの、むしろ、かつてのアナログ世代とは真逆の現代アラフォー感を表わしており、非常にリアルである。
また、悟は仕事上でCGデザインをする場面もあるが、あえて子供のころから好きだった模型を作り、それをデザインのラフとして提示することにこだわりを見せる。悟がアナログ感を持った人物であることを、表現したかったのだろう。
さらに、悟が作った模型が、他の社員の不注意によって壊されてしまい、作り直すために、みゆきに会いに行けなくなったというシーンもある。
みゆきは携帯電話を所持していない、悟は手作りの模型でデザインをするという、お互い現代にはなくてもよい、アナログなこだわりが災いして、2人は1週間会えなくなってしまうわけだ。このような、設定の物語を今の時代の若者が観た時、どのように思うのだろうか?
これは40代の筆者の憶測にはなってしまうが、古臭さを感じるどころか、むしろ、新鮮に映り「純愛とは何か?」 と深く考えさせられるのではないだろうか。