ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » ゴジラの放射熱線が意味するものとは…? なぜ戦後が舞台? 映画『ゴジラ−1.0』徹底考察&評価。忖度なしガチレビュー » Page 3

殺戮シーンを際立たせる人間ドラマの妙

映画『ゴジラ-1.0』浜辺美波(東京国際映画祭)【Getty Images】
映画ゴジラ 10浜辺美波東京国際映画祭Getty Images

本作は山崎監督が得意とするドラマパートが、かなり濃厚に描かれているのも特徴である。山崎監督の代表作である「ALWAYS 三丁目の夕日」は、人間ドラマが繊細タッチで描かれており、実に見事であった。

本作で描かれるドラマパートには、敷島と典子が出会い、そして助け合いながら生きていく姿が描かれているが、その根底にあるのは戦争やゴジラに対する憎しみ、復讐心である。

戦争がなければ、ゴジラがいなければ、もっと幸せな人生を歩めたはずだ。だからこそ戦争が憎い、ゴジラが憎い、出来ることなら復讐してやりたい、と心の底から願っていたはずである。

そんな負の感情が観客側にも伝わり、人類とゴジラの対決を心が震えるようなシーンに仕上げているのである。

もしドラマパートが入念に描かれることなく、ゴジラによる破壊や殺戮シーンだけに焦点を当ててしまったとしたら、それはあまりにも深みがなく、子供向けの映画に仕上がってしまったのではないだろうか?

人間とゴジラ、その2つの存在を融合させることにより、ゴジラによる破壊や殺戮シーンが際立ち、本作に深みを持たせていると考えられる。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!