「不死身の杉本」を圧倒的な存在感で体現
映画は二百三高地におけるスケール感たっぷりの戦闘シーンからシリアスに幕をあける。ドロドロの白兵戦が展開し、勇猛果敢な「不死身の杉本」が登場。塹壕に飛び込んで、瞬速な格闘アクションが展開していく。
ここで観客が改めて向き合わなくてはならないのが、「山崎賢人、実写化映画やりすぎ問題」である。
マンガ実写映画化作品の主演に、ことごとく山﨑賢人が担ぎ出され、それなりにソツなくこなしてしまうことについて、どう考えるのかという国民的議題だ。
個人的には「不死身の杉本」を演じるには、山﨑はさすがに線が細すぎるのではないかと思ってしまうが、そんなファンの意見は制作側も重々理解しているはず。
それでも杉本役を彼に託したのは、その溢れ出る“主人公感”に懸けたのだろう。良くも悪くも、人気キャラを堂々と演じ、批判を含めて受け切ることができるのは、いまの邦画界では彼しかいないのかもしれない。
今作ではアクションシーンも多いが、『キングダム』シリーズで鍛えられたのか、キレの良い動きはなかなかのもの。
目を剥いて「不死身の杉本だ~!」と叫ぶ場面では、若干の迫力と狂気不足は否めないが、ギャグシーンやアイヌ文化に触れてほっこりする杉本にはよくハマっており、さすがの存在感を発揮している。