ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » ブツ切りの「ドラマ初回SP感」が拭えない…再現度だけで評価するのは間違いか。実写映画『ゴールデンカムイ』考察&レビュー » Page 3

“よくできたコスプレ大会”という見方も

山田杏奈【Getty Images】
山田杏奈Getty Images

その他のキャストも、見た目の「再現度」という意味では総じてレベルが高い。

特にアシㇼパを演じた山田杏奈は、作品のカギを握るともいえる、ピュアで力強い瞳まで見事に再現。声がちょっと細いのが気になるが、なによりも体のサイズ感がちょうどよく、佇まいがアシㇼパさんとしかいえない愛らしさだ。

他にも、鶴見中尉の玉木宏、土方歳三の舘ひろしなど、キャスティングが完璧でイメージ通り。

白石由竹を演じた矢本悠馬はノリも含めて再現度が高く、CGで頭蓋骨を歪めてまで披露する「鉄格子抜け」はシリアス&ギャグを見事に実写で表現した名場面といえよう。

ただ、どれだけビジュアルを原作に似せたところで、厳しく言えば“よくできたコスプレ大会”にしかならない。一筋縄ではいかないキャラクターたちが過激に躍動するのが『ゴールデンカムイ』の醍醐味なのだが、そこには表現規制の壁が立ちはだかっているようで、血と暴力は総じて控えめ。

それでもヒグマのワンパンで顔面ズル剥けというショックシーンはちゃんと表現しており、規制の中でもギリギリ頑張ろうという気概が伺える。

原作の大事な要素であるアイヌ文化や狩り、そして食事シーンも細部にまでこだわって再現していて、その丁寧な仕事ぶりはスタッフの熱意の賜物だろう。

と、シーンごとの完成度は高いのだが、通して観ているとエピソードがブツ切りになってしまい、ドラマが盛り上がっていかないのがもどかしい。

1 2 3 4
error: Content is protected !!