“よくできたコスプレ大会”という見方も
その他のキャストも、見た目の「再現度」という意味では総じてレベルが高い。
特にアシㇼパを演じた山田杏奈は、作品のカギを握るともいえる、ピュアで力強い瞳まで見事に再現。声がちょっと細いのが気になるが、なによりも体のサイズ感がちょうどよく、佇まいがアシㇼパさんとしかいえない愛らしさだ。
他にも、鶴見中尉の玉木宏、土方歳三の舘ひろしなど、キャスティングが完璧でイメージ通り。
白石由竹を演じた矢本悠馬はノリも含めて再現度が高く、CGで頭蓋骨を歪めてまで披露する「鉄格子抜け」はシリアス&ギャグを見事に実写で表現した名場面といえよう。
ただ、どれだけビジュアルを原作に似せたところで、厳しく言えば“よくできたコスプレ大会”にしかならない。一筋縄ではいかないキャラクターたちが過激に躍動するのが『ゴールデンカムイ』の醍醐味なのだが、そこには表現規制の壁が立ちはだかっているようで、血と暴力は総じて控えめ。
それでもヒグマのワンパンで顔面ズル剥けというショックシーンはちゃんと表現しており、規制の中でもギリギリ頑張ろうという気概が伺える。
原作の大事な要素であるアイヌ文化や狩り、そして食事シーンも細部にまでこだわって再現していて、その丁寧な仕事ぶりはスタッフの熱意の賜物だろう。
と、シーンごとの完成度は高いのだが、通して観ているとエピソードがブツ切りになってしまい、ドラマが盛り上がっていかないのがもどかしい。