大画面でこそ輝く迫真のアクションシーンに注目
最初に驚いたのは、序盤のアクションシーンの迫力と描写の細やかさだ。映画が始まると、一輪の花が吹き飛ぶ。花は、前作『DESTINY』の最終話で、キラが求め続ける平和の象徴のように描かれていたが、その花がなくなると共に、再び戦いの火蓋が切られたのだ。
今作でモビルスーツの戦闘に3DCGを本格的に導入したからか、テレビシリーズ以上にスケールを増した戦いを体験することができる。
モビルスーツをアップにしたときの迫力はもちろん、ビルを遮蔽にした撃ち合いを引き気味に捉えたカット、機体が出撃するときの細かな挙動なども素晴らしい。と同時に、巻き込まれて逃げ惑い犠牲になる人々は、戦争や紛争の残酷さと恐ろしさを訴えてくる。
戦闘の迫力と怖さを、メリハリのある編集と描写で一度に伝える冒頭の市街地戦で、早くもこの作品を大画面で見る意義を感じることができた。
前述の通り、「SEEDシリーズ」では過去のガンダム作品へのオマージュが捧げられていたが、この映画ではそれがふんだんに盛り込まれているようだった。特に目立ったのは『機動戦士ガンダム』や、劇場版ゆえか、富野由悠季監督の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)に関連する部分だ。本作のとあるキャラクターは、『逆襲のシャア』の登場人物を少しコミカルにしたようでさえある。
また、「SEEDシリーズ」からのセルフ・オマージュも散見される。台詞のみならず、TVシリーズのオープニングの演出を意識した描写も印象深い。