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『菊次郎の夏』【ネタバレあり】あらすじ

映画『菊次郎の夏』のワンシーン
映画菊次郎の夏のワンシーンGetty Images

それでも菊次郎は反省せずに、やりたい放題。そんな中、ちょっと目を離した隙に、正男が行方不明になってしまう。菊次郎は正男を見つけるも、正男は変質者に公衆トイレに連れ込まれ、パンツを下ろされそうになっていた。この一件以来、責任感の芽生えた菊次郎は、正男を無事に母親の元へ送り届けようと決心する。

菊次郎はトラックの運転手に豊橋まで連れて行ってもらおうと考えたが、乗せてくれそうな人はなかなか見つからない。そこへ若いカップルがやってくると、バス停まで乗せて行ってくれた。

だが、バスはいくら待ってもくる気配を見せず、しびれを切らした菊次郎は、正男の顔を可愛く見せるために、変な猫の化粧をしてヒッチハイクをさせるが、車は一台も止まってくれない。お金がない2人は、古いバスの待合小屋で野宿をすることに。菊次郎は自分が母親に捨てられたことを思い出しており、正男の胸中を思った。

翌日、バス停から出発した2人は、詩を売りながら日本中を旅する小説家志望の男(今村ねずみ)に出会い、事情を知った男は2人を正男の母親の家の近くまで送り届けてくれる。2人は嬉々として母親の家に向かったが、玄関には母親とは異なる姓の表札がかかっている。

遠くから様子を伺っていると、家から出てきたのは正男の母親だったが、その後に正男よりも小さな女の子と見知らぬ男が出てくると、とても楽しげな様子。正男の母は、正男のことを忘れて新しい家族を築いていた。

菊次郎は「違う家だったみたいだな」と慰めるが、全てを悟った正男は涙を流すばかり。いたたまれなくなった菊次郎は近くの浜に正男を待たせて、「もう一度あの家に行って母親の引越し先を聞いてくる」と言って踵を返す。

しかしそんなことができるはずもない菊次郎が公衆便所の前に佇んでいると、置いてあるバイクに天使の形をした鈴が結んであった。戻ってきたバイクの持ち主にお守りだという鈴を強引に譲り受けると、正男の元に戻った。

「お母さんは引っ越していた。正男が尋ねてきたらこの鈴を渡すようにと言われた。」「苦しい事や悲しい事があったら、鈴を鳴らすと天使が来て正男を助けてくれる。」と嘘をついて正男を慰める。菊次郎は「天使くるだろ?」と正男に問うも、正男は「わかんない」と下を向く。

正男を元気付けたかった菊次郎は、神社の夜祭りに正男を連れて行くが金魚を持ち逃げしようとして、ヤクザに殴られて血だらけになった。正男はそんな菊次郎の顔を優しく拭うと、菊次郎は「ごめんな」と力なく呟いた。

あてのなくなった2人だったが、ひょんなことから小説家志望の男と再会する。男は2人の身に起こった話を聞くと、2人をキャンプに誘った。3人が河原でキャンプをしていると、天使の鈴を奪われたバイクの持ち主も現れて、みんなでスイカ割りをしたりだるまさんがころんだをしたりして楽しい時間を過ごした。

そんな中、菊次郎は自分を捨てた母親が、近くの介護施設に入所していることを知る。菊次郎は正男を男たちに預けて施設を訪ねるが、年老いた母親が車椅子に乗り、介護士たちに悪態をつく様子をみて、正男と同じくついに声をかけることはできなかった。

こうして東京へ戻った菊次郎と正男。菊次郎は「またお母さんを探しに行こう」と言って正男を抱きしめた。正男は立ち去ろうとする菊次郎に名前を聞くと「菊次郎だよ!馬鹿野郎!」と笑った。

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