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関口雄介の“普通さ”ー配役の魅力

映画『菊次郎の夏』ビートたけし演じる菊次郎の膝の上で寝る関口雄介演じる正男
映画菊次郎の夏ビートたけし演じる菊次郎の膝の上で寝る関口雄介演じる正男Getty Images

本作のキャスティングといえば、まずは正男役の関口雄介をあげなければならない。北野によれば、関口は元々オーディション参加者の付き添いとして来た子どもで、当然ながら演技経験は一切なかったという。しかし、元々可愛い子どもよりも、普通の子どもが作品を通じて可愛く見える方が良いと感じ、関口の起用を決めたという。

なお、北野は、撮影現場では、演技経験のない関口の演出に苦労したといい、関口が菊次郎と別れて全速力で駆けていくラストシーンでは、関口にアイスを買ってくるよう頼み、全力疾走しているところをこっそり撮影したのだという。

ちなみに、1989年生まれの関口は、映画出演当時若干10歳。2023年現在、すでに芸能界から引退しており、大人になった姿をスクリーンで拝める機会は今のところなさそうだ。

また、たけし軍団の井手らっきょやグレート義太夫、そして細川ふみえなど、専業俳優ではないキャストも本作の大きな特徴だろう。

特に本作では、北野が絶賛するパフォーマンス集団「THE CONVOY」のメンバーが多数出演。中でも今村ねずみと黒須洋壬(現:黒須洋嗣)は、それぞれ「あんちゃん」「カップルの男」役としてメインキャストで出演している。パフォーマーやアイドルといったいわゆる「イロモノ」の演者の起用には、浅草の演芸場からキャリアをスタートさせた芸人ビートたけしのDNAが感じられる。

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