”ある事件”で重なり合う、接点のない3人の世界
笛花は勝呂寺を車に乗せた上で、警察の検問を突破、みなとみらい地区でのカーチェイスの末、勝呂寺をある場所に匿う。
さらに、ローカルテレビ局「テレビ横浜」の報道キャスター・倉内桔梗(中谷美紀)も、銃殺事件の現場に急行する。彼女は恋愛もプライベートも捨て、仕事一筋に生きてきたものの、突然、自らが企画から関わったニュース番組『日曜NEWS11』の終了を告げられ、これが“最後の取材”と覚悟する。
片や、店の命綱であるデミグラスソースを失った立葵は、店員に責め立てられ、ショゲ返ってしまうが、腹をくくったのか店を開けることを諦めたのか、「卵の素晴らしさ」を語り始める始末。
「逃亡編」「テレビ局編」「レストラン編」が同時進行し、目まぐるしいまでに場面が展開する。
緊迫感あふれる「逃亡編」「テレビ局編」とは一線を画し、「レストラン編」では、気弱ながら、味にはこだわりを持つ立葵をはじめ、何とか開店にこぎつけようと奔走する店員たちの必死な様子が、この物語においてオアシスのような役割を果たしている。
立葵にとっては、クリスマスイブは亡き妻の命日でもあった。なんとか店を開けたいという思いは店員と同じだったが、やはり自分の気持ちと折り合いが付けられない。そんな立葵にとんだ“クリスマスプレゼント”が贈られる。
店内で拳銃が発見され、店の中は大騒ぎ。銃殺事件で使われたものと確信する店員たちは、拳銃の処分方法に頭を悩ませる。
一方、記憶を取り戻しつつある勝呂寺は、匿われていた場所を離れ、単独行動を開始する。それを知った笛花は勝呂寺を追い、“消し”にかかる。さらに勝呂寺を尾行し続ける謎の女性も登場。すっかり勝呂寺は“お尋ね者”となってしまう。
しかし勝呂寺は野毛の街で警察に発見されるが、すんでのところで逮捕を免れ、航行中の船に飛び乗る。
片や立葵は、拳銃を見つけたことを警察に通報。捨て場所について考え込んでいた店員たちはガッカリするが、立葵の至って常識的な行動によって、レストランは一転、事件のカギを握る場となる。