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北野版“仁義なき戦い”ー演出の魅力

第63回カンヌ国際映画祭に『アウトレイジ』を出典した際の写真
北野武第63回カンヌ国際映画祭にアウトレイジを出品したGetty Images

本作は、2010年公開のバイオレンスアクション。監督は北野武で、ビートたけしのほか、椎名桔平、三浦友和ら、豪華キャストが出演している。ちなみに、「アウトレイジ(Outrage)」は、英語で「極悪非道」を意味する。

『座頭市』(2003年)で興行的成功を収めた北野は、次第に国内の評価と自身が求める芸術の間で葛藤するようになり、『TAKESHIS’』(2005年)、『監督・ばんざい!』(2007年)、『アキレスと亀』(2008年)と、芸術家としての自己を投影した3部作を発表する。

そんな北野が、「バイオレンス」という自身の原点を見つめ直して制作した作品がこの『アウトレイジ』だ。とはいえ本作の場合は、深作欣二の『仁義なき戦い』シリーズを参考にしたというだけあって、思いっきりエンターテインメントに振り切っており、『その男、凶暴につき』(1989年)や『ソナチネ』(1993年)といった芸術性の高い初期北野作品とは似て非なるものに仕上がっている。

また、本作は、観客動員数50万人を記録。その後『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)『アウトレイジ最終章』(2017年)としてシリーズ化されることになる。

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