退廃的な世界観にマッチした選曲〜音楽の魅力
本作の音楽プロデューサーは、ドン・デイヴィス。ウォシャウスキー姉妹の出世作『バウンド』(1996 年)の音楽を手掛けた作曲家だ。
デイヴィスは、本作の終末的な世界観に併せて、金属音などのノイズを基調とした音楽の多数手掛けている。例えば、ミート・ビート・マニフェストの『Prime Audio Soup』は、金属的なドラムをベースに、電子音やエコーがかかった幽霊的なボーカルが重なる曲になっており、本作の閉塞感を巧みに表現している。
また、イギリスの音楽ユニット・プロペラヘッズの『Spybreak!』は、ネオとモーフィアスが銃撃戦を繰り広げる際に流れる曲で、ドラムベースの音楽が高揚感を煽る。対して、ロブ・ドーガンの『Clubbed to Death』は、悲しげなピアノの旋律に強いドラムが交錯し、ネオの焦燥感や寂寥感を煽る曲になっている。
そして極め付けは、エンディングで流れるマリリン・マンソンの『Rock Is Dead』。マンソンは、過激なパフォーマンスで知られが、反消費主義的な歌詞を歌い上げる退廃的で攻撃的な彼のシャウトが、本作の世界観に異様にマッチしている。
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