『微笑みの爆弾』が流れるシーンがアツい
細部の描写で続編への期待をさりげなく煽りつつ、序盤の流れは非常に巧みである。そんな巧みなストーリー構成をもたらしたのは、原作ではおそらく、作者の冨樫義博(あるいは担当編集者)がその後の方向性を模索していたであろう、迷いがみえるエピソードを大幅にカットする、という英断にある。
原作の序盤を読むと、ヤンキー漫画にするのか、オカルト漫画にするのか、はたまたバトルものにするのか、最初の時点では試行錯誤していたのではないかと思わせる描写が多々あるのだが(これは他の少年漫画にもみられる現象だ)、実写版ではバトル漫画としてスッキリと一本筋の通った描き方となっているのだ。これは少年漫画を実写化する上で、欠かせない作業であると言えるだろう。
一話目のラストには早くも原作屈指の人気キャラである元魔界の盗賊・飛影(本郷奏多)が登場し、彼も別の場所でゾンビのような妖怪をなぎ倒すという形でエピソードを締めくくる。ここまでを1時間弱の尺でまとめた監督の手腕に、まず拍手を送りたい。
また、冒頭、幽助がトラックに跳ねられるシーンでは、トラックのラジオからアニメ版主題歌・馬渡松子の『微笑みの爆弾』が流れる。この点もアニメ版への愛が感じられる演出となっている。