原作ではまだ序盤の範囲の本作
続編製作に期待がかかる
いつ中国から攻め込まれてもおかしくない現在の情勢で、いつまでも米国の“核の傘”の下にいていいのか。そうしたジレンマを抱えながらも、既に戦後70年以上が過ぎている。
海江田という登場人物のアクションは、平和ボケした日本人に劇薬を投じていると考えるのは、筆者の穿った見方だろうか。
深町に言葉を残し、潜水艦「シーバット」内に作られた国家「やまと」は姿をくらます。「やまと」の向かう先はどこなのか…。大作でありながら、どこか、壮大なプロローグを見たような感覚になる作品でもある。
29日に行われた初日舞台挨拶において、大沢たかおはじめとするキャスト陣が続編製作への意気込みを語っている。おそらく、次回作も製作されることだろう。いや、製作されない方が不自然といった方がいいかもしれない。そしてその次回作は、その時代の国際情勢を反映されたものとなるだろう。
その頃、世界はどうなっているのだろうか。思わず、悲観的な未来を想像してしまうが、海江田には海江田なりの“平和”を実現してほしい。そんな思いで続編を待ちたい。
(文・寺島武志)