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「日本アニメはハリウッド級」『すずめの戸締り』と『スラムダンク』がアジアを無双した深すぎる理由。中国の映画人が分析

text by 山田剛志

日本アニメの快進撃が止まらない。『すずめの戸締り』、『THE FIRST SLAM DUNK』の、中国における好況をニュースなどで見知っている人も多いだろう。今回は、日本と中国をまたにかけて活動する、上海国際映画祭プログラマーの徐昊辰氏に、日本アニメの中国における受容の歴史から『スラムダンク』&『すずめの戸締り』の大ヒットの要因まで幅広くお話を伺った。(取材:文・山田剛志)

中国におけるジャパニメーション躍進の背景

映画『すずめの戸締り』
映画すずめの戸締りGetty Images

近年、ますます存在感を強めている日本のアニメ映画。新海誠監督『すずめの戸締り』(以下、『すずめ』)は、2023年3月に中国国内で公開がスタート。初日から多くの観客が劇場に詰めかけ、わずか1カ月強で日本国内の興行収入を抜き、5月には興行収入8億元(約156億円)を突破した。

さらに、『すずめ』からやや遅れて公開された『THEFIRST SLAM DUNK』もまた空前のヒットを記録している。

中国と日本、双方の映画市場に精通する徐氏は、中国におけるジャパニメーション躍進の背景には「日本アニメのブランド化」が影響しているという。

「中国において、日本のアニメはハリウッド映画に肩を並べるほど信頼性の高いブランドになっています。

多くの場合、日本の配給会社は海外向けのプロモーションをほぼ行わないのですが、それでも中国国内で日本のアニメ映画は存在感を発揮し続けている。

なぜかというと、中国の熱心な日本アニメのファンが、日本国内で日本語の記事が出ると、自ら情報を拾って中国語に翻訳して拡散し、自主的にシェアをするからです。こうした現象は、かれこれ十数年前から見られるものです」(徐昊辰氏)

自国語の宣伝広告がなくとも、日本国内で発信される情報にセンサーを立て、必要とあれば、自ら翻訳して拡散する。好きなコンテンツに関する情報を受動的に摂取するのではなく、能動的に得ようとする。

中国のジャパニメーションファンの熱量には尋常じゃないものがある。しかし、一体、日本アニメの何が、中国の人々を熱狂に駆り立てているのだろうか。

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