ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「何がそんなに面白い?」映画『スラムダンク』レビュー。元・Jリーガーがアスリート目線で深掘り考察【あらすじ 評価 解説】 » Page 4

湘北ががカッコいいのはただただ、彼らのプレーが輝いていたから

スラムダンクに話を戻す。ここまで当たり前のようにネタバレをかましてきたが、何度でも言おう「湘北は山王に勝つ」。しかし、5人がカッコいいのは湘北が勝ったからではなく、ただただ、彼らのプレーが輝いていたからだ。それ以上でもそれ以下でもない。机に突っ込む花道、無謀にも沢北との1on1を挑む流川、ゴール下で自分らしさを取り戻す赤木、限界でもスリーを放ち続ける三井、そして心臓バクバクでも前に進むことをやめない宮城…。彼らのプレーだけが、彼らの人生の強烈な具体としてあって、燦然と輝いていた。

スポーツでも、ビジネスでも、“勝ち”を求められるのはこの世の原理原則。しかし、トーナメントはその象徴だが、ほとんどの人は負けていく運命にある。それでも、それはあくまで 「そのゲームの」WinnerとLoserを決めるだけであって、自分自身の価値や、その価値が誰かに影響を与えるかどうかはまったく別のお話。

インターハイ3回戦負けでも、これだけの間、僕たちを鼓舞してきた彼らの存在は、2023年になっても少しも色褪せていなかった。スポーツの世界で生きていく僕は、これからも勝敗というモノサシを向けられ続ける。負けることもあるだろう。それでも、自分を認め、願わくは誰かに感動を届けられるような存在でありたい。改めてそう決意し、歌舞伎町を抜けて帰路に着くのであった。

(文・井筒陸也)

【関連記事】
「CG演出最高!」映画『スラムダンク』レビュー(前編)。映画オリジナルシーンを原作ファンが考察【あらすじ 評価 解説】
「名シーンをカット!?」映画『スラムダンク』レビュー(後編)。原作とここが違う! 5つの変更点は?【評価 解説 考察】
史上最高のジャンプ漫画実写化は?『週刊少年ジャンプ』原作の実写映画ベスト5選。コミックを超える感動が味わえる逸品も!?

1 2 3 4
error: Content is protected !!