アシㇼパ(山田杏奈)は大人びた雰囲気がむしろ原作を超えた?
次にアイヌの少女・アシㇼパだ。公式で年齢は公表されていないので真偽不明だが、キャラデザ的に「12歳くらいじゃないか」という考察がされている。身長も小学生高学年くらいである。
そんなアシㇼパを演じた山田杏奈さんは23歳・159cm と原作より大きいが、まったく違和感なかった。なんなら、子役だったらアシㇼパの大人びた雰囲気と、力強さを再現できなかっただろう。
アシㇼパは親を早くに亡くしているせいか、山で狩猟をしながら生きているせいか、年の割に大人びている。たまに杉元を含めた周りのおじさんたちが、どうしようもないガキンチョに見えるレベルだ。アシㇼパのこの一面を素晴らしく再現していた。
一方で寂しがりな側面もある。例えば父を失い、ずっとかわいがっていたエゾオオカミのレタラが山に帰っていくシーン。アシㇼパが寂しさから大号泣する場面だが、再現度がすごかった。原作を超えるレベルだったと思う。
また個人的にはアシㇼパの魅力は、ほうれい線むき出しの表情だと思っている。映画完成発表の際、山田はスマートフォンで何度も自撮りをして表情を練習していたと話していた。
映画終盤の「おそるおそる味噌を食べるシーン」などでは、ほうれい線むき出しの表情をしっかり再現しており、その女優魂に心が震えた。本当に「山田さんありがとうございます」という気持ちでいっぱいになったのは筆者だけではないはずだ。