ホーム » 投稿 » 海外映画 » レビュー » 韓国映画「オールド・ボーイ」漫画との違いは? ハサミで舌を…。暴力描写に賛否分かれる衝撃作 <あらすじ 考察 レビュー> » Page 4

凄惨なストーリーの裏に隠されたモチーフとは~脚本の魅力

左から撮影のチョン・ジョンフン、パク・チャヌク監督、キャストのユ・ジテ、カン・へジョン、主演のチェ・ミンシク
左から撮影のチョンジョンフンパクチャヌク監督キャストのユジテカンへジョン主演のチェミンシクGetty Images

本作の脚本の魅力といえば、なんといってもラストで明かされる衝撃の事実が挙げられるだろう。15年もの長きにわたり監禁され、復讐の鬼と化したオ・デス。様々な手がかりから復讐の謎に迫る彼だが、黒幕のイ・ウジンは見つかって以降は「なぜ復讐を図ったのか」という謎をめぐって話が進んでいく。そして、彼の復讐の影に、更に大きな復讐が絡んでいることが明かされていく…。飲んだくれた彼が警察で拘留されているオープニングから、一体誰がこんな凄惨なラストを予想できるというのか。

なお、本作には、脚本の裏にあるモチーフが隠されている。それが、ギリシャ神話をモチーフとしたソフォクレスの戯曲『オイディプス王』である。『オイディプス王』は、「父親を殺し、母と結婚する」という神託を受けた王子・オイディプスが、自身に運命に逆らおうとしたものの、結果的に神託通りの行動を取ってしまう物語のこと。彼は、自分で望んでいないにも関わらず父を殺し、母と相姦してしまったことに気づき、自身の目をつぶしてしまう。本作『オールド・ボーイ』でも、オ・デス(この名前自体、「オイディプス」の略である)は自身の娘と交わり、自らの舌を切り落とす。

なお、韓国文化には、運命に翻弄される悲哀がもたらす「恨(ハン)」という概念が根強く残っている。「恨」と『オイディプス王』が、本作の脚本の礎となっているのかもしれない。

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