チェ・ミンスクの鬼気迫る演技に注目~演技の魅力
本作の演技といえば、なんといってもオ・デス役のチェ・ミンスクの演技は外せないだろう。復讐の鬼と化したミンスクのまるで獣のような演技が、過度にエキセントリックな(悪くいえば大味な)本作に説得力を持たせている。
ミンスクは、監禁後のオ・デスを演じるため、10kg減量。その後、監禁前のふくよかなオ・デスを演じるために1日5食を取り、元の体重まで戻したという。
また、オ・デスの敵役イ・ウジンを演じるユ・ジテにも注目。『リメンバー・ミー』(2000 年)や『春の陽は過ぎゆく』(2001 年)で純粋で爽やかな好青年を演じたジテだが、本作では何を考えているかわからない不気味な悪役に徹している。なお、ジテは、名優ミンスクと対峙するにあたり、徹底した役作りを敢行。真夜中にチャヌクにセリフの練習を申し出たり、表情やセリフの一言一句に至るまでチャヌクと相談したりしながらキャラクターを作り上げていったという。
なお、本作では、終盤にウジンがヨガの「バッタのポーズ」をするシーンがあるが、なんとジテはこのワンシーンのために、3ヶ月間ヨガを猛特訓したという。役者たちの並々ならぬ気概が、本作のクオリティを高水準に引き上げているのは間違いないだろう。