『パワー・オブ・ザ・ドッグ』【ネタバレあり】あらすじ
その後、ジョージとローズは結婚。ローズはバーバンク兄弟と生活を共にすることになった。ピーターは大学に進学し、都会で寮生活を送っている。学費はすべてジョージ負担だ。フィルはローズが金銭目当てでジョージに近づいたのではないかと勘繰り、露骨に嫌な態度をみせる。一方のローズもフィルに嫌悪感を示し、両者の関係は修復不可能となっていく。
そんな中、ジョージは両親や地元の有力者を招き、結婚祝いのパーティーを主催。ローズはジョージのリクエストに応え、ピアノ演奏を披露することになったが、フィルに練習を妨害された挙句、本番ではあえなく失敗。精神的に追い詰められたローズは、酒に心の安らぎを求めるようになる。
夏休みに入り、ピーターが母のもとを訪れると、彼女はすっかりアルコール依存症に陥っていた。フィルと部下たちから陰険な嫌がらせを受け、ピーターは辟易する。そんな中、偶然、フィルが男性向けポルノ雑誌を見ながら自慰行為にふける現場を目撃。フィルの手には、ピーターが落としたハンカチが握られていた。
その件以降、フィルは手のひらを返したようにピーターに優しく接し、乗馬を指導するなど、2人きりで過ごす時間が増える。一方、ローズは息子とフィルが仲良くするのを快く思っておらず、アルコール依存は深刻さを増していく。
ある日、酔っぱらったローズは牧場から牛の生皮を盗み、無断で先住民に譲り渡してしまう。お礼に手袋を貰うと、酒の飲みすぎが祟り昏倒。ジョージから介抱されるが、ローズの所業を知ったフィルは激怒。牛の生皮はピーターのロープを作るために必要だったのだ。ピーターは怒り狂うフィルをなだめ、2人は死んだ牛の皮でロープを作ることになった。
フィルとピーターは丹念な手つきでロープ作りに勤しむ。作業の途中で、フィルは手に怪我を負うが、手当をせずに作業を続行する。ピーターはフィルから、彼の師であるブロンコ・ヘンリーなる人物の話を聞く。かつてフィルはブロンコと共に山に登るも遭難。ブロンコは寒さに凍えるフィルに体を密着させ、命を救ってくれたという。その夜、フィルとピーターは1本のタバコを回し喫み、親密な一晩を過ごす。
次の日の朝。ジョージは朝食に現れないフィルを心配し様子を見に行くと、その手はひどく化膿し、熱にうなされている。フィルは前後不覚になりながらも、ピーターにロープを渡そうとするのだった。
しばらくして、フィルは死亡し、葬儀が開かれようとしている。フィルは傷ついた手で病気の牛の皮に触れたことで、炭疽病にかかったのだった。葬儀を欠席したピーターは祈祷書を開き、「剣と犬の力から、私の魂を解放したまえ」という一文をそっと唱えると、フィルから授かったロープをベッドの下にしまう。葬儀が終わり、ジョージとローズは身を寄せ合って口づけをかわす。ピーターは少し離れたところから、その様子を微笑ましそうに見守るのだった。