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難攻不落のSF小説の実写化〜演出の魅力

デイヴィッド・リンチ監督(第70回カンヌ国際映画祭より)
デイヴィッドリンチ監督第70回カンヌ国際映画祭よりGetty Images

本作は、フランク・ハーバートが1965年に発表した同名SF小説を実写化した作品。

監督は『メッセージ』(2016年)『ブレードランナー 2049』(2017年)で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴで、脚本を『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)や『ベンジャミン・バトン―数奇な人生』(2008年)で知られるエリック・ロスと『パッセンジャー』(2017年)のジョン・スペイツが担当。主演のポール・アトレイデスを『君の名前で僕を呼んで』(2017年)のティモシー・シャラメが演じている。

「世界で最も売れたSF小説」と謳われる原作小説は、『風の谷のナウシカ』(1984年)や『スターウォーズ』シリーズなど、数々の映画に影響を与えてきた一方で、映像化が不可能と言われ、並いる監督たちを苦しめてきた。一人目の犠牲者は『エルトポ』(1970年)で知られるアレハンドロ・ホドロフスキー。

彼は1975年に本作の実写化を企画したが、際限なく膨らむ制作費により頓挫。なおこの”未完のSF超大作”の全貌は、ドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)で本人の口から語られている。

二人目の犠牲者は、『イレイザーヘッド』(1976年)『ブルーベルベット』(1986年)で知られるデイヴィッド・リンチ。彼はプロデューサーの指名を受け1984年に『デューン/砂の惑星』を制作したが、“ダイジェスト的な編集ながら難解“という自他ともに認める失敗作となってしまった(ちなみにホドロフスキーはリンチが作品を完成させたことに嫉妬を覚えていたものの、作品を見ているうちに「あまりのひどさにだんだん嬉しくなってきた」と述懐している)。

本作はその後2008年にパラマウント・ピクチャーズのもとで再度映画化の話が持ち上がり、『バトルシップ』(2012年)のピーター・バーグ監督や『96時間』(2008年)のピエール・モレル監督によるリメイクが進んでいたものの、またもや頓挫してしまう。そんな中ようやく白羽の矢が立ったのが、新時代のSF映画の巨匠との呼び声名高いドゥニ・ヴィルヌーブというわけである。

では、この難攻不落の本作をヴィルヌーブは一体どのように料理したのか、早速その秘密を紐解いていこう。

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