「Filmed in Imax」が実現する究極の映像体験
本作の映像は、いくら語っても語り尽くせないほどにオリジナリティに満ち溢れている。中でも特筆すべき点としては、世界初となる「Filmed in Imax」プログラムの採用が挙げられるだろう。
「Filmed In IMAX」とは、IMAX社がARRIやパナビジョン、RED Digital Cinema、ソニーなどのデジタルシネマカメラを独自のポストプロダクションと組み合わせ、IMAXフォーマットで動作することを正式に認定したもの。制作者の映像表現をダイレクトに劇場で鑑賞者に提供することが可能となる。ちなみに、『トップガン マーヴェリック』(2022)も同様の規格で制作されている。
そんな本作では、登場する宇宙船に縦長のデザインが採用されているほか、砂漠のシーンでも奥行きにより縦方向に砂漠を表現しているシーンが散見される。これらは、縦長の「IMAXレーザーGT」のスクリーンを活かすために採用された「IMAX基準」の構図であるといってよいだろう。
なお、撮影では全編を通してARRI ALEXA LFと呼ばれるカメラを使用。本機種は、ダイナミックレンジ(音響や画像における信号の大きさの範囲を表す指標)が広く、色域も豊かなことから、舞台となる砂漠の砂の一粒一粒まで細かく表現し、高精細かつ美麗な映像表現に成功している。
また、忘れてはいけないのがVFX技術の高さである。本作では、ロケ地となったヨルダンやアラブ首長国連邦の砂漠に併せて、グリーンバックに茶色の背景を採用したという。これにより、現実と砂漠の風景をシームレスにつなぐことに成功。現実とは全く異なる異世界の実現が可能となってる。