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映画『丘の上の本屋さん』は面白い? イタリアの古書店が舞台の心温まる物語。忖度なしガチレビュー【あらすじ 考察 解説】

text by 吉田健二

トレンドを追うことに忙しく、暇があればすぐにスマホを手に取り、大切な時間を浪費してしまう。そんな悩みを抱えている人は多いのではないだろうか。映画『丘の上の本屋さん』は、じっくり時間をかけて本を読み、知識を深めることの大切さを再認識できる映画だ。イタリアの美しい景色と物語を通して心を豊かにしてくれる本作のレビューを紹介する。(文・吉田健二)

移民の少年が本を通して学んでいく姿に
人生を豊かにするヒントをもらえる

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イタリアの風光明媚な丘陵地帯にある小さな古書店を舞台にした映画『丘の上の本屋さん』は、アフリカ系移民の少年エシエンと店主のリベロという2人の人物を中心に展開するハートウォーミングな物語。

この映画はユニセフ・イタリアが共同制作した作品となっており、原題は、『Ildiritto all’sfelicita』で、「幸せになる権利」という意味。「Libero(リベロ)」はイタリア語で自由というのを意味しており、古本屋の店主であるリベロは移民の少年であるエシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていく。

移民という困難な状況に置かれている少年エシエンが、自分らしく生きるための道を探し、人との繋がりを少しずつ築いていく様子を描く暖かい映画だ。

物語の舞台はイタリア中央部にあるテーラモ県アブルッツォ州チヴィ・テッラ・デル・トロント。石畳の美しい村の中にある古本屋が物語の中心となっている。店主は美しく眺望の良い村で孤独に生活している老人のリベロ。彼には家族はいないが、隣人のウェイターであるニコラや、移民のボジャンなどとゆったりした生活を送っていた。

そんなリベロの元にアフリカ西部の内地、ブルキナファソから訪れた移民エンシエが現れる。エンシエは、リベロのお店に置かれている漫画に興味を示すが、お金を持っていない。
そこでリベロは、読み終わったら返しにくることを条件に、エンシエに漫画を貸し始める。

その後エンシエはリベロの元に毎日のように漫画を借りに訪れるようになり、漫画を卒業させ、児童文学、中編小説、長編大作、専門書と様々なジャンルの本を貸し出していく。

そして、エンシエが読んだ本の感想を聞きながら、彼に知識や物事の見方、考え方を伝えていくのだ。

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