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「キツい・汚い・危険」コメディ映画『逆転のトライアングル』は面白い? 忖度なしガチレビュー【あらすじ 考察 解説 評価】

text by 柴田悠

第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した映画『逆転のトライアングル』が公開中だ。監督は、2017年に制作された『ザ・スクエア 思いやりの聖域』でもパルムドールを受賞しているリューベン・オストルンド監督。原題「triangle of sadness(悲しみの三角形)」に込められた意味とは?忖度なしガチレビューをお届けする。(文・柴田悠)

「キツい・汚い・危険」
3Kを兼ねそなえた衝撃のコメディ

Fredrik Wenzel © Plattform Produktio

本作は、『フレンチアルプスで起きたこと』(2014年)や『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017年)で知られるスウェーデンの新鋭リューベン・オストルンドによるブラックコメディ作品。主演のカールを『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021年)のハリス・ディキンソンが、ヤヤをモデルで女優のチャールビ・ディーンが演じている。

カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し大きな話題を呼んだ本作。芸術的な作品が受賞することが多い同賞だけにさぞ難解な作品かと思いきや、「キツい・汚い・危険」の3拍子が揃った“3Kコメディ”とも言うべき快作に仕上がっている(ちなみにオストルンドは、前作の『ザ・スクエア』に続く二度目の受賞)。

物語は「カールとヤヤ」「船」「島」の三部構成からなり、全体の狂言回しをモデルのカップルであるカールとヤヤが務めている。まず第一部では2人の日常が描かれる。ファッションショーにも出演するスーパーモデルで人気インフルエンサーのヤヤと、イケメンだがいまいちうだつが上がらず、オーディションを受けまくるカール。

レストランのシーンでは、そんな2人が、「食事代をどちらが払うか」を巡り大ゲンカを繰り広げる。カールよりも何倍も稼いでいるにも関わらず「男が払うのが当然」という態度でいるヤヤに、「男女の役割にとらわれるべきじゃない」と、PC(ポリティカル・コレクトネス)を盾に食って掛かるカール。少し前にSNSで論争となった「デート代は男が払うべきか女が払うべきか」をそのままなぞったような、タイムリーな展開である。

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