賛否両論の結末を深掘り考察
② 映画版ではエリックの死と黙示録の正しさが示される
対して、結末を書き換えることを条件に監督に名乗りをあげたシャマランは、まずはウェンを生かし、もっとも魅力的なキャラクターであるレナードが死ぬタイミングを遅らせた。
そして、最後の最後に自らが「見た」ビジョンに見出したサインを信じ、「目覚めた」エリックの自己犠牲の選択を再び劇的に描きながら、黙示録の予言は正しかったこと、おそらくは彼の決断と行為が世界を救ったことを、あっけらかんと画面上で示してしまう。
この展開は、ひとまずはおなじみの「収束」の構成をなぞっている。光の中に幻視した人間の姿に加えて、エリックは改めて、四人組のシャツの色、そして彼らの性格や特徴が、「黙示録の四騎士」と完全に重なるものであったことを悟る。
そして、はじめから見えていたサインを改めて発見し、信じることで目覚めた彼は、究極の選択を下す勇気を得る。誰よりも、娘のウェンが希望を持ち続けて生きていける未来を守るために、ついにエリックは自らを犠牲に捧げることとなる。