ジョーダン監督は日本のアニメへのリスペクトを公言
デイムと対決する場面を含めて、ファイトシーンはどれもすごい迫力だ。これは、既にさまざまなインタビューでジョーダンが答えている通り、日本のアニメを参照した演出が大きいだろう。過去にもジョーダンはアニメ好きを公言してきたが、メガホンを取った今作では、直接的にその影響が見られる。
たとえば、アドニスがボディーブローを食らう際のスローモーションと、パンチを受けてほとばしる汗、そして効果音は、まさに『ドラゴンボール』や『はじめの一歩』を彷彿とさせる。
実際に描かれてはいないものの、パンチが当たった後のヒットエフェクト、衝撃波が見えるかのようだ。パンチを打つ前に、ガラ空きになっている部分をクローズアップするのも実にアニメ的だ。
極めつけは、スタジアムの観客やリングサイドの人々が消え、アドニスとデイムの二人だけになるシーンだ。試合中の二人の心象風景を表現したようなこの場面も、おそらくアニメからインスピレーションを受けたものだろう。
もちろん、アニメ的な演出には賛否両論あるだろう。しかし、筆者の目には、こうした表現が、新鮮さと臨場感をもたらすことに成功しているように見えた。余談だが、アドニスの子供時代を回想した冒頭では、部屋にガンダムなどが映っており、アニメへの目配せはここでも伺える。