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登場人物の心情を表現するポップナンバーー音楽の魅力

トーマス・ニューマン
トーマスニューマンGetty Images

本作の音楽を担当したのは、トーマス・ニューマン。『ショーシャンクの空に』(1994年)など数々の名画の音楽を担当してきたハリウッドきっての名作曲家だ。ニューマンは、本作のためにクラシック・ロックとインディー・ロックをミックスした曲を提供。冒頭のシーンで流れる「Dead Already」や、「Arose」など、多くの楽曲で木琴による柔らかな音色によるミニマルな旋律が使われ、神秘的な雰囲気を高めている。

また、時代を彩るポップソングが随所に使われているのも本作の特徴だろう。例えば、仕事を辞めたレスターが、マリファナを吸いながらドライブスルーにやってくるシーンで使われている曲は、ゲス・フーの名曲「アメリカン・ウーマン」。「アメリカの女がお前の心を狂わせる」という歌詞は、本作の展開にぴったりだ。ちなみに、歌に合わせてレスターが大声で熱唱するのは、スペイシーのアドリブだという。

また、キャロラインが射撃場から家に向かう車中で歌う楽曲は、ボビー・ダーリンによるミュージカルナンバー「パレードに雨を降らせないで」。こちらは、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002年)の中でも劇伴として使われており、キャロラインの気ままな感情を見事に表現している。

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