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ディカプリオの圧倒的な演技ー配役の魅力

レオナルド・ディカプリオ(左)、ジョニー・デップ(右)
レオナルドディカプリオ左ジョニーデップ右Getty Images

本作の演技といえば、何より、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたアーニー役のディカプリオを挙げなければならないだろう。ディカプリオは本作で、実際にハンディキャップを抱える人々と数週間共に暮らし、彼らの振る舞いや言動を完全にインプット。演技時には特製のマウスピースを装着することで、高難度なアーニーのキャラクターを見事に体現している。

なお、ディカプリオは、撮影中にアーニー役が抜けず、カメラが回っていないところでも木に上ったり水をかけたりと、スタッフを困らせ、ハルストレムに吐瀉物をかけたこともあったという。そして、ギルバート役のデップも負けていない。ディカプリオとは対照的な内省的な演技で、ギルバートの内面の苦悩と葛藤を見事に表現している。

また、ギルバートとアーニーの母親役のダーレン・ケイツにも注目。映画初体験となるケイツは、10代に過食症を発症。慢性的なうつ病により、30代には体重200kgになっていたという。ハルストレムは、トーク番組に出演したケイツを見て、出演を依頼。ケイツは当初出演を渋っていたが、差別に悩む過食症の人々に勇気を与えるため、出演を承諾したという。

なお、ケイツは2017年に逝去。ディカプリオは、「ダーレンは僕が共演し、僕のママ役を演じた中で最高の女優でした」と哀悼の意を表している。

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