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「感情移入してしまった」ソフィア・コッポラ監督の新作映画『プリシラ』エルヴィスの妻に焦点を当てた深い理由とは?

text by 編集部

映画監督ソフィア・コッポラが、エルヴィス・プレスリーと元妻プリシラ・プレスリーの関係を描いた伝記映画『プリシラ』を発表した。コッポラは、エルヴィスの元妻プリシラの人物像と経験に深く共感したと現地メディアのインタビューで言及し、その理由を語った。今回は、その詳細内容を米Movie Webを参考に紹介する。

偉大な父を持つソフィア・コッポラ
その家庭環境とは?

ソフィア・コッポラ【Getty Images】
ソフィアコッポラGetty Images

エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラの伝記映画『プリシラ』。本作の製作を務めたのは、映画監督ソフィア・コッポラだ。

映画『プリシラ』は、「キング・オブ・ロックンロール」と称されるエルヴィス・プレスリーと、彼を愛した元妻であるプリシラ・プレスリーの関係を描いた作品。本作の注目ポイントは、エルヴィスではなく、妻プリシラの目線から物語が進むという点だ。

コッポラはこの物語を語る中で、残念ながら、エルヴィスの音楽を使用することができなかったようだ。彼女は、劇中で、エルヴィスの曲の使用を行う権利を求め、エルヴィスの資産管理団体である「エルヴィス・プレスリー・エンタープライズ」に断られたという。

米HollywoodReporter誌とのインタビューでは、「管理団体は、自分たちが発案していないプロジェクトを好まないし、自分たちのブランドを守っている。でも、そのおかげで私たちはよりクリエイティブになれました」と、コッポラは語っている。

今回、コッポラが、この物語を描くに至ったきっかけは、エルヴィスではなく、妻プリシラにあった。同インタビュー中で、コッポラは、生まれた時に既に業界の一員であった者として、プリシラという存在に親近感を覚えたことを明かしている。

彼女は「プリシラに感情移入してしまったんです。ただ楽しい冒険になると思っていたのに、彼女の物語がとても身近なことに驚きました。私は、自分の家族からの経験で、ショービジネス一家の中に生まれることがどういうことなのか知っています」

「成長するにつれて、周りの目が変わるのです。それに、大きな個性を持ち、偉大なアーティストである父と一緒の家に住んでいたので、私たちの生活の殆どは父を中心に回っていたのです」

「そして、そんな父との生活の中で、自分自身の道を見つけようとする母の姿を見て、共感しました」と述べている。

コッポラ監督の父は、映画『ゴッドファーザー』シリーズの製作を務めた、名監督フランシス・フォード・コッポラである。彼女が非常に共感したという、エルヴィスの妻プリシラを描いた、映画『プリシラ』は、ソフィア・コッポラが監督した9作目の映画作品となる。彼女は一族の名を越えて、一人の映画監督としてその名を広めた、映画史上最高の女性監督の一人と言えるだろう。

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