出会いと別れを体現する等身大の演技ー配役の魅力
本作が多くの人の共感を呼ぶ作品になり得たのは、トム役のレヴィットとサマー役のデシャネルによる所が大きいだろう。
2人とも、圧倒的なスター性を持った役者というよりも、どこか素朴な雰囲気を残したまま、等身大の若者を演じている。
特に2人が公園で「ペニス!」と言い合い無邪気に戯れるシーンは、なんともリアルで、微笑ましく見ていられる。2人の自然な演技が、本作を傑作たらしめているのだ。
とはいえ、本作では、時系列がバラバラに配置されている以上、2人の仲が睦まじい時期と冷え切った時期、そして友達に戻った時期と、差がよく分かるように演技にメリハリをつけなければならない。その点、レヴィットとデシャネルは、見事に空気感の違いを表現できている。
また、意外なところでは、トムの妹であるレイチェル・ハンセン役のクロエ・グレース・モレッツの演技が印象的。
特に傷心のトムをなだめるシーンは、「トムを説得させられるのは彼女しかいない」という謎の説得力を持っている。