ホーム » 投稿 » 海外映画 » レビュー » あまりに素晴らしい…快楽に満ちた映像体験の秘密を解説。映画「グランド・ブダペスト・ホテル」<あらすじ 考察 レビュー> » Page 5

グランド・ブダペスト・ホテル 配役の寸評

主役級の役者が多数出演しており、脇役に至るまで適材適所のキャスティングが光る。顔ぶれは国際色豊か。主役のグスタブはイギリス人俳優・レイフ・ファインズが務め、彼とただならぬ仲となるマダムDは同じくイギリス出身のティルダ・スウィントンが演じる。

他にもフランス人俳優・マチュー・アマルリックはグスタブに協力的な男を熱演し、アイルランド生まれのシアーシャ・ローナンは透明感のある佇まいで、ヒロイン・アガサ役を見事に演じている。準主役の少年・ゼロに扮したのは、撮影当時10代後半だったトニー・レヴォロリ。本作の演技が評価され、その後『スパイダーマン』シリーズのメインキャストに抜擢されるなど、ブレイクを果たした。

上でも触れたように、本作はカットの持続が短く、テンポ良く展開していくため、情感のこもった芝居をじっくり堪能するタイプの作品ではない。役者陣はマリオネットのような機械的な演技に徹しているが、芝居のトーンが均一に保たれているため、誰一人として浮くことはなく、おもちゃ箱をひっくり返したような世界観と上手く溶け合っている。

1 2 3 4 5 6 7 8