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教会のイメージを暗示する天才的な映像設計

名手・ゴードン・ウィリスによるノスタルジックな色調の画面
名手ゴードンウィリスによるノスタルジックな色調の画面Getty Images

冒頭から陰影に富んだ映像が観る者を魅了する。娘をレイプされた中年男が加害者への復讐感情を告白するファーストシーンは、男の顔のアップから始まり、背景が暗いため、教会の告解室を想起させる。カメラがゆっくりとズームバック(後退移動)すると、話を聞いているのは神父ではなく、マフィアの親玉・ヴィトーであることが判明する。

タイトルの「ゴッドファーザー」とは、キリスト教における名付け親、後見人のことであり、クライマックスの洗礼式のシーンでは、マイケルが姪であるフランシスの名付け親になる。教会をモチーフにしたカットを冒頭に持ってくることによって、タイトルの意味と後の展開をさりげなく暗示する、天才的なイメージ設計である。

撮影監督のゴードン・ウィリスはコッポラ作品の他にも、ウディ・アレンとのコラボレーションで名を馳せた技巧派カメラマン。カメラ・オペレーターは後に『タクシードライバー』の撮影を手掛けたマイケル・チャップマンが務めている。暗殺シーンを始めとしたショッキングな場面では、暗部を強調したライティングが効果を発揮している。

とはいえ、大半のシーンはノスタルジックな琥珀色の映像で構成されており、ドラマと連動する形で画調が巧みにコントロールされているのだ。

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