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躍動感と孤独感を表現するカメラワーク〜映像の魅力

本作の最大の魅力は、なんと言っても手持ちカメラによる躍動感あふれるカメラワークと、ビビッドな色彩感だろう。

第1部の映像監督・アンドリュー・ラウによる映像は、フランソワ・トリュフォーの作品さながらの流れるようなカメラワークと小気味良いテンポのカット割りが持ち味。手持ちカメラでの撮影ながら不快な手ブレは一切なく、観客は視覚的な快楽にどっぷりと浸ることができる。

第1部の映像監督・アンドリュー・ラウ
第1部の映像監督アンドリューラウGetty Images

第2部の映像監督・クリストファー・ドイルによる映像では、照明を一切使わず、自然光のみで撮影を敢行。ヴィヴィッドな色彩と青のトーンが印象的なスタイリッシュな映像づくりに成功している(なお、このパートで登場する部屋は、ドイルが実際に住んでいる部屋が使われている)。

第2部の映像監督・クリストファー・ドイル
第2部の映像監督クリストファードイルGetty Images

また、本作では全編を通してほとんどのドラマが屋内で展開し、屋外の映像も街の全景を映すようなカットはほとんど使われていない。そのため、映像にはなんともいえない閉塞感が漂っている。

その最たるものが、警官663号が暮らすチョンキンマンションの部屋だろう。彼がCAの彼女とアイコンタクトを交わすヒルサイドエスカレーター(世界最長として知られる)も、窓の隙間からわずかに映るにすぎない。

こういったカットから、登場人物が抱えるぬぐい難い孤独に結びつけて考えるのはあながち間違いではないだろう。彼らはみな孤独を抱えており、お互いの引力で引き合ってはまた離れていく。『恋する惑星』とは、言い得て妙である。

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